令和6年能登半島地震の検証

ディープラーニングによる地震前兆検知の試み

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令和6年能登半島地震の検証

2025.11.05
20242.01.01 16:10発生の令和6年能登半島地震について、過去のHi-net連続波形データを用いて、
有意な前兆が現在のディープラーニングのモデルで検知できるかを検証した。

●検証内容:

・解析対象期間 2023.10.01 0:00 〜2024.01.06 23:59

上記期間のHi-net連続波形データを、現在モデルが正しく生成出来て判定の出力が期待できる
各震源地域(北海道十勝沖、三陸沖、房総・首都圏、南海沖、北陸沖)について
強震前兆の適合度(2週間以内、1週間以内、2日以内)を各々計算し、その推移を確認した。


・検証の前提となるデータ学習内容

モデルの学習用データは、過去観測された複数の震度5弱以上の地震について
発震の一か月前程度から発震のタイミングまでのHi-net連続波形データを使用した。
(※ディープラーニングのモデルに関する概要はこちらを参照)
ただし、解析対象期間の連続波形データはは学習対象から除外しており、
データ上は北陸地方で発生する未知の巨大地震について前兆を観測する状態とした。


・強震前兆の適合度推移確認手順

1.観測点ごとに作成したモデルによって、各観測点の連続波形データを1時間単位でテストし、
 各観測点における毎時の強震前兆適合度[(震源地域)×(2週間以内、1週間以内、2日以内)]を算出する。・・・・・・・(a)
2.震源地域別に(a) を集計し、
 全観測点の強震前兆適合度合計値[(2週間以内、1週間以内、2日以内)] を算出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(b)

(b)を見ることによって、特定の震源地域に対応する反応がどの程度発生しているかを
俯瞰的に捉えることが可能となる。

(b)の日次推移を、2023.10.01 〜2024.01.06の期間トレースし、
強震発生前から、強震発生後の強震前兆適合度合計値の推移を震源地域別に確認、
前兆の検知ができているかを検証した。

●結果:

・北陸地域の強震前兆適合度合計値推移:

発震の約2か月半前で強震前兆適合度合計値(2週間以内、1週間以内、2日以内)が全て急上昇している。
また、本震発震後、さらに強烈な反応増加が見られる。

	サムネイル画像

詳しく見てみると、発震の約2か月半前(2023.10.15ごろ)までは静穏だったが、突然、
強震前兆適合度合計値(2週間以内、1週間以内、2日以内)が全て急上昇する。
その後、発震までの期間は上下動しながらも、発震のタイミングまでは同じレベルをキープ。

発震のタイミング以後、さらなる急上昇も見えるが、残念ながらこれは
発震の前段階に出ているわけではないので、反応が上昇してから発震までの2か月半の間
「いつ来るか判らない」まま発震を迎えたことになる。

次の図は、1時間単位の集計で発震直前の期間で強震前兆適合度合計値を見たもの。

	サムネイル画像

20242.01.01 16時から急上昇しており、1時間単位で見ても殆ど発震のタイミングを知らせるような
前兆の変化は見られない。


・他地域の強震前兆適合度合計値推移

北陸沖以外の震源エリアをターゲットとしたモデルにも反応が出ている。
特に、南海沖のモデルについては、2週間以内前兆適合度が発震の1日前に、
それまでの値の1.5倍近くまで大きく上昇している。
北陸から離れた地域ではあるが、発震直前の動きが観測されている可能性が高い。


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1時間単位の集計で発震直前の期間で強震前兆適合度合計値を見ても、発震より前に
反応値が底上げされている状況が確認できる。

	サムネイル画像



また、三陸沖のモデルについても、12月23日ごろにやや大きく適合度が跳ね上がっていたが、
こちらは、それまでの値の1.2倍程度である。
1.2倍程度の急上昇は、11月7日付近にもみられるため、
発震タイミングを見極める手がかりとしてはやや根拠に乏しい。


	サムネイル画像

●発震タイミングの予測に向けて考察

強震前兆適合度合計値については、令和6年能登半島地震のケースを見る限り、
超大型の発震に向けて概ね以下のプロセスを通ると推測できる。

1.震源からかなり離れた地域のモデルでも2か月以上前から強震前兆適合度合計値が上昇し、
  同じレベルをキープし始める。
2.発震の直前(数日?)ぐらいで、震源地域とは限らない地域のモデルで反応に急上昇が見られる
3.発震

予兆の観測から、時間軸上で発震に向けた警戒期間の設定と、
発震のタイミングの見極めができる可能性がある。

●震源地域の特定に向けて考察

震源エリアのモデルの反応と震源以外のエリアのモデルの反応を比べたとき、
定量的に識別可能な明確な差が見当たらない。
これでは、予兆が観測された時点で平面上の座標で何処が震源エリアなのか
特定することが難しい。

令和6年能登半島地震の規模を考慮すると、日本の国土を覆いつくすような範囲で
前兆が出現しているためピンポイントな震源判定が難しい状況と推測する。

そこで、地図上に各観測点で計算された適合度の大きさを個々にマッピングした図で
平面座標上に反応量の偏りがみられるのか確認してみた。
ここでは、動きが判りやすいように検証期間中のマッピング図を時系列に並べて
パラパラ漫画の要領でアニメーションさせている。

・北陸沖:【震源エリア】
震源エリアを取り囲むように広いエリアで反応が出ている。

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・北海道・十勝沖:
モデルが対象としている北海道・十勝沖の震源エリアは比較的反応が薄く、
北陸・中部地方以南で反応が見える。


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・三陸沖:
モデルが対象としている三陸の震源エリアにも反応が見えるが、
北に行くほど反応が薄く、北陸・中部地方に活発な反応が偏っている。

	サムネイル画像


・房総・首都圏:
モデルが対象としている房総の震源エリアにも反応が見えるが、
北に行くほど反応が薄く、北陸・中部地方に活発な反応が偏っている。

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・南海沖:
モデルが対象としている南海沖の震源エリアに活発な反応。
一見すると、このエリアでの地震を疑う。

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以上を踏まえると、反応量は概ね北陸・中部地方〜南海沖にかけてのエリアに偏っている。
震源エリアの予想絞り込みとしてピンポイントな予測には程遠いが、
超大型地震の発生に先立って、エリアの特定に一定のヒントが得られると考える。



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